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「みんな優しい」

帰りが遅くなった夏の夜のこと、タクシーで帰ろうと駅のタクシー乗り場で並んでいました。

私の前に立っていた若い女性の様子がおかしい。
苦しそうに目を閉じて、息も荒い前後に身体が揺れています。

これは、危ないと思って「大丈夫ですか?」と声をかけたら、大きく揺れて、ついに崩れてしまいました。

彼女をとっさに抱きとめました。ダメだ全然大丈夫じゃない・・・

地面に座り込んで、片手で彼女を抱きかかえ携帯を取り出して、緊急ボタンおして救急車を呼ぶ。
「大丈夫だからね、今救急車を呼んだから、もうすぐ救急車来るからね、大丈夫だからね、」
そう声をかけ続ける。彼女の額に触ったら、熱い、かなり熱がありそうだ。

私の後に並んでいた人が「すみません、お先に失礼いたします、」と申し訳なさそうにタクシーに乗っていきました。

なかなか救急車が来ません。
そうこうするうちに、タクシー乗り場に座り込んだ私達の周りに人が集まってきました。

固く目を閉じた彼女の息が苦しそうだ、以前パニック障害の発作を起こした友人を介抱したことを思い出して、周りに集まっていた人達に「紙袋を持っていませんか」そう声をかけました。

心配そうに私達を見ていた人達が、紙袋を探しにいったり、濡れたフキンや氷を近所のお店にもらいに行ってくれました。

私の腕の中で、苦しそうにしていた彼女に、彼らは口々に「大丈夫だからね」、と声をかけてくれました。

次第に女性の呼吸が落ち着いてきました。

そして、うっすらと目を開けた彼女に、「大丈夫ですか?」と声をかけると、か細いながらも「大丈夫です、ありがとうございます」と初めて返事がありました。

その場にいた人達が皆、ほっと安堵して、「良かった〜」という声があちこちから聞こえました。

温かな労りの空間が、そこに生まれていました。

コンクリートに押しつけられていた私の足は完全に痺れてしまっていましたが、温かな気持ちに満たされて、私自身も癒されていました。

その場は優しさと労りの空間になっていました。

巷にあふれている、こんな小さな物語に出会ったことはありませんか?

人は皆みんな優しい、本当は人の役に立ちたいと思っているのです。

皆の優しい気持ちを引き出した彼女は到着した救急隊員にタンカに乗せられて、救急車で病院に運ばれていきました。

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